暮らす
わたしたちの暮らしと
地震や災害が関係しているって本当?
大地の活動がもたらす恵み
地震を引き起こす大地の活動は、わたしたちにとって大きな災害となることがあります。
しかし、大地の活動がもたらしているのは災害だけではありません。
地震などを引き起こす大地の活動によって、わたしたちはさまざまな恵みも受け取っています。
暮らし

海成段丘上の集落(石川県輪島市黒島)
能登半島西側の海沿いや新潟県佐渡市の海沿いには、海成段丘という階段のような地形が広がっています。これは、海の波に削られてできた平らな土地が、大地の動き(断層活動)によって持ち上がり、何千年もかけてできた階段状の地形です。この平らな土地は、昔から人々の生活にとても役立っています。
能登半島では、海に面した低地部には漁業の拠点として漁村ができ、海成段丘の平らな土地では農業を営む半農半漁の生活が営まれてきました。
また、この海成段丘は地盤が固く安定していているほか、海から少し高くなっているため、低地の平野より津波のリスクが小さいという特徴があります。


新潟県糸魚川市は、日本海と長野県を結ぶ古道「松本街道」の出発地点がある町です。昔はこの道を使って日本海でとれた塩を長野県に運んでいたため、「塩の道」とも呼ばれています。
糸魚川市と長野県との間には、標高2,000mを超える高い山々が連なっています。しかし、巨大な断層「糸魚川ー静岡構造線(糸静線)」沿いでは、標高数百mくらいの峠となっていて、塩の道もこの低いところを通っています。断層が動くと(=地震が起こると)、地下の岩石が割れてもろくなることがあります。そのため、大きな断層があるところでは、もろくなった地面が川などによって削られることで、谷や盆地が作られます。
塩の道は、糸静線が生み出した低地をうまく利用した古道で、日本全国にも断層活動によってもたらされた谷や低地を利用した道が数多く存在します。
【外部リンク】6.糸静線と塩の道(北部)エリア | 24エリア | 糸魚川ジオパークについて | 糸魚川ユネスコ世界ジオパーク
【外部リンク】12.糸静線と塩の道(南部)エリア | 24エリア | 糸魚川ジオパークについて | 糸魚川ユネスコ世界ジオパーク

新潟県の糸魚川温泉
日本にはたくさんの温泉がありますが、これらも大地の活動と深く関わっています。温泉が湧き出すには「熱」と、「温泉水の通り道」が必要です。
活火山の近くでは、地下のマグマの熱で温められたお湯が湧き出します。また、火山から離れていても、断層があるところでは、そこを通り道にして地下深くで温められた水が地上へ上がってくることがあります。

糸魚川温泉の湧きあがりの仕組み
例えば、新潟県の糸魚川温泉は、巨大な断層「糸魚川ー静岡構造線」の近くから湧き出しており、少ししょっぱいのが特徴です。この温泉の地下は、フォッサマグナの海にたまった砂や泥の地層でできています。地面に染み込んだ雨水は、地下の熱に温められながら地下深いところまで流れます。この時に、地層に含まれている昔の海水(化石海水)と混ざり合います。化石海水が混ざった温泉は、断層の割れ目に沿って地上に上がり、井戸から湧き出てきます。糸魚川温泉がしょっぱい理由は、フォッサマグナが海だったことと深く関係しています。
ほかにも北陸には、和倉温泉や宇奈月温泉など、断層や大地の成り立ちに関係する温泉地が数多くあります。断層がつくった温泉水の通り道や、大地がもたらす熱エネルギーは、古くから人々の体を癒やし、地域の観光を支える大きな恵みとなっているのです。
食

白米千枚田(石川県輪島市)
海に面した斜面に無数の棚田が広がる白米千枚田は、地すべりによってできたなだらかな地形を利用しています。平野の少ない能登半島には水田に適した土地があまりありません。地すべり地帯は地下水が豊富で、高い場所でも比較的水が得やすいため、このなだらかな地形を利用して棚田がつくられてきました。


新潟県糸魚川沖には深さ200m以上の深海が南北方向に続いていて、日本列島が誕生した時の大きな裂け目”フォッサマグナ”の延長にあたると考えられています。糸魚川は、海岸から近いところに深海があるため、ベニズワイガニやアンコウなど深海に生息する海産物の漁に適しており、名物となっています。
【外部リンク】糸魚川の食について|糸魚川観光ガイド
【外部リンク】フォッサマグナと日本列島 – フォッサマグナミュージアム
大地の成り立ちは、その場所の「水」の性質も変え、特産品の味にも関わっています。 新潟県糸魚川市の根知地区にある「渡辺酒造店」は、世界でも珍しい断層(糸魚川ー静岡構造線)の真上にある酒蔵です。

断層を境にして東側と西側では、地面の下にある地層が全く違います。そのため、同じ敷地内でも井戸を掘る場所によって水の性質(ミネラル分など)が異なります。 渡辺酒造店では、この「大地が生んだ二つの水」を使い分けることで、ここでしか作れないこだわりの日本酒を生み出しています。
景色・アクティビティ

石川県白山市や金沢市などの平野部の市街地からすぐにアクセスすることのできる山地、獅子吼高原。実はこの獅子吼高原は、長い時間をかけて断層(森本・富樫断層帯)が何度も動くことによって盛り上がってできた山地です。
断層活動によって急激に高くなったこの地形は、パラグライダーにぴったり。上昇気流に乗りやすく、空からのアクティビティを楽しめます。高い場所からは、川が運んだ石が作った「扇状地」から日本海まで、素晴らしい景色をながめることができます。

富山県にある「立山カルデラ」は、大地が大きく崩れたり削られたりしてできた、巨大なくぼ地です。 このダイナミックな地形を作った要因の一つが、近くにある「跡津川断層」の活動です。
断層が動いて大地が激しく崩れることは、大きな災害になります。しかし、その結果として、他では見られないような壮大なスケールの景色が形づくられました。現在では、観光資源として利用されているほか、その地形を活かした砂防の歴史や、大地の仕組みを学ぶための貴重なフィールドとなっています。